「え……?なら、樹とどうして……」
「私、気づいたの。こんな風に、もし裏切られた時、こんなに胸が痛むんだって」
私は、胸をおさえて俯く。
あの日、三枝さんから聞かされた話を思い出すと、胸があの日の痛みを覚えているかのように強く痛む。
「なら、最初から大切な人なんて…作らなければいいって」
「添田……」
「なんで忘れてたんだろうって、思ったの」
沖田先生の時に、痛いほど身にしみたはずなのに…。
「それって……添田は、二度と大切な人を作らないってこと?」
亮くんに言われてみて、そういうことかと納得する。
私には、永遠に大切な人なんて、出来ないんだ。
私が、それを受け入れられないから。
「うん…」
「そんな……それって、すげぇ悲しいよ」
まるで、亮くんの方が傷ついてるかのように、悲しげな顔をした。
悲しいけど……自分を守るために選んだことだから…。


