「七海の事だから、こんなに必死になってんだよ……。頼むから、七海の世界から俺を追い出すな。傍にいさせろよ」
「……手、離して……」
大切な人なんかもう作りたくない。
友達とか、恋とか……そんなの望むべきしゃなかった。
私は一人でいた方が良かったんだよ。
そうすれば、こんなぐちゃぐちゃな気持ち……知らずに済んだ。
私は、やんわりと拒絶するように樹くんの手を振り払う。
「七海っ……!!」
「ごめんなさい……"宇佐美くん"」
「七海……」
私は、一線を置くつもりで、樹くんではなく宇佐美くんと呼んだ。
私が宇佐美くんの名前を呼ぶことは、きっと二度とない。
立ち尽くす宇佐美に背を向けて、歩き出す。
さよなら、宇佐美くん……。
心の中で別れを告げる。
離れると決めたのは私なのに、どうしてこんなに苦しいのか分からない。
後悔してる?
ううん、そんなはずないよ……。
だって私が望んだこと……だから。
何が本当の気持ちなのか、見えない。
自分の心なのに……訳がわからない。
宇佐美くんと離れても、私の心が晴れることはなかった。
むしろ、宇佐美くんを傷つけてしまった事に、痛みが増したようにさえ思えた。


