確かに感じる、あの日の思い出の証。
この時の記憶が、唯一私に優しい気持ちを残してくれた。
「添田……?」
「………なに?」
「考え事かよ?」
「………宇佐見くんが……」
ポツリと、無意識に呟く。
「俺が……?」
「あっ、ううん、何でもない……」
王子様に似ていたなんて……。
私、何を口走ろうとしちゃってるんだろう。
こんな事、宇佐見くんに話したってしょうがないのに…。
我に返って、首をフルフルと横に振る。
「添田の声さ、俺初めて聞いたかも」
授業中、小声で会話する私達に、誰も気づいていない。
それを良い事に、宇佐見くんがやたら話しかけてくる。
私の声……。
そりゃそうだよ、学校で会話するような友達は、もういないし…。


