ーー泣かせたのは、俺だ。
七海の心を踏みにじったから……。
傷つけたくないのに、傷つけちまうのは、何でなんだ。
大事にしたいのに、俺が七海を苦しめてる…。
「俺が……もっと早くゲームのこと、話せばよかったんだ」
「ゲーム?」
「あぁ。じゃんけんに負けたら添田 七海を笑わせるっていう罰ゲーム。クラスの連中に無理やり参加させられて、何か言われんのが面倒だから、負けた俺は罰ゲームをやった」
あの時初めて、寂しげに本を読む七海の存在を目で捉えた。
噂では知ってたけど、実物はそんな噂ではとは似ても似つかない可憐な女だった。
「それで、添田さんを笑いものにした?」
「んなわけねーだろ!!」
鈴原先生の言葉に、お門違いな怒りをぶつける。
笑いものになんかしてねぇ。
一切、クラスの連中には七海の事を話してない。
「話してみたら面白いヤツだなって思った。最初は興味本位で、今は……」
「今は……?」
「泣いたり笑ったり、色んなアイツの顔を知るたびに、いつの間にか、七海がほっとけなくなってて……」
気づいたら目で追ってた。
俺が守らなきゃと思って、片時も傍を離れたくねーって思った。


