『…おい、そこは"に~"だろ』
『…………』
つい声をかけると、添田は俺のことなんて知らんぷりだ。
『なぁ、聞いてんのか?オーイ』
『…………』
めげずに声をかけても、添田は無言で教科書を立ててトントンと角を揃えている。
オイ、徹底的に無視かよ。
『オーイ、無視かよ!!』
『…………』
最後まで無視を決め込む添田に、俺は内心楽しくなっていた。
やべ、意地でも添田の笑った顔が見てぇ。
今思えば、俺は相当しつこくて面倒くさいヤツだと思われてたと思う。
「最初は、興味本位だった……」
亮ちゃんは、俺の話を静かに聞いてくれている。
こういう時、亮ちゃんは必ず俺の話を最後まで聞いてくれんだよな。
高校からの親友だが、もうずっと昔から親友だったみたいだ。
「でも、七海と一緒にいる度に、初恋の女と姿が被ってみえてきて……いや、今は七海の事ばっか考えてんだ」
七海が沖田のせいで泣いていた時、なぜか俺が守らなきゃと思った。
七海の笑顔を見た時の感動と胸の高鳴りも、未だに忘れられない。
こう、フワッて、花が咲くみたいに笑うんだよな、アイツ…。


