『やだ、面倒くせーし』

『まぁまぁ、見てみたくね?あの鉄仮面の笑った顔!』

『別に……』

興味無い、そう言おうと思った。

なのに、なぜか本を読む添田の横顔から目が逸らせない。

鉄仮面というよりか、憂いを帯びたような、顔だ。

アイツ、なんであんな寂しそうな顔してんだ?

その訳を知りたい……なんて、俺はおかしくなったのか?

胸の中で、添田の存在がすでにドカッと居座っている。

どうなってんだ、これは……。

自分でも、この訳の分からない感情に戸惑っていた。


『ほら、やれって樹!』

『はぁ……へいへい』


クラスの連中から催促されて、俺は仕方なく消しゴムに『笑ってくんない?』と書き込んで添田の机に置いた。


すると添田はギョッとしたように俺の顔を見つめる。