「やめて……もう、期待とかしたくないから」
静かに、震える声でそう答えた。
期待して、裏切られる……。
そんなの、沖田先生の時に学んだのに…。
どうして私、樹くんの事好きになっちゃったんだろう…。
「七海……俺……」
「騙された私が悪いって、分かってる。こんな私の事、好きになる人なんていないもんね」
自嘲的に笑って、私は一歩、樹くんから後ずさった。
それに、樹くんは一歩私に近づこうとする。
「違う!!七海は"こんな"なんて卑下するようなヤツじゃない!!」
「…………もう十分でしょ、ゲームは終わり。大成功で、楽しかった?」
あぁ……悔しいけど、辛い…な。
惨めだよ……惨めで、すごく、悲しい。
心の中にある、温かい感情が、少しずつ消えていくみたいだった。
「七海、話をさせてくれ!!」
「……何も、聞きたくないっ」
それだけ言い放って、私は全速力で駆け出す。
「待て、七海!!」
樹くんの声に、一度立ち止まる。
「あっ、樹くんこんな所にいたぁ!!」
振り返ると、私を追いかけようとした樹くんの前に、三枝さんたちが駆け寄るのが見えた。


