そして廊下の先、探していた人を見つけた。
男子更衣室から出てきた樹くんの後ろ姿。
好都合なことに、樹くん一人だった。
「樹くん!!」
「……あ?」
名前を呼ぶと、不思議そうに振り返る樹くん。
そして、その瞳が私の姿を捉えると、みるみると見開かれる。
「そんな焦ってどーした?何かあったか?」
「はぁっ、はぁっ……」
樹くんの目の前まで来ると、乱れる呼吸、激しく鼓動する心臓に、私は膝に手をついて身を屈めた。
聞かなきゃ、聞きなきゃ!!
本当の事、でもあれは事実じゃないって、きっと樹くんならそう言ってくれる!!
「おい、七海、だいじょう……」
「私、樹くんに聞きたいことがあるの……」
あぁ、怖い……。
答えを聞くのが、本当に怖い。
三枝さんの言ってることが本当なら、今度こそ、私は誰も信じられなくなる。
信じたいって……そう思ってるのに不安だなんて…。
ごめんね、樹くん……。
これじゃあまるで、樹くんのことを、信じてないみたい。


