ガラッと音を立てて教室に入れば、一気に私に集まる視線。


それら全て無視して鞄を手に取り、教室から出てそのまま昇降口へと向かう。



教室は物凄く居心地が悪い。


女子達は私を見ながらひそひそと何かを話しているし、男子達は私に意味ありげな視線を向ける。


私は見世物なんかじゃないのに・・・。



「・・・愛梨!」



スタスタと廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。


後ろを振り返れば、この学校の生徒で唯一私に関わってくる物好きの姿が。



颯(イチジョウ ハヤテ)。


中学、高校と同じで、どれだけ冷たく突き放しても私に付きまとってくるかなりの物好き。


ミルクティ色の髪に、爽やかなルックス。


性格もフレンドリーなので、どうして私に付きまとうのか本当に理解できない。



「どこ行くんだよ。もう少しで5限始まるぜ?」


「帰る。授業出てもつまんないし」


「つまんないって・・。単位取れなくてもしらねーぞ?」


「まだ1学期始まったばっかだし、学期末で調整するから問題ない。じゃあね」


「あっ、おい・・・!」



颯の言葉を軽く受け流し、そのまま学校を出て街へと向かった。