固まってるあたしのすぐ横を、その人がつかつかとヒールを鳴らして通り過ぎた。 …風に乗って鼻につくのは、智輝の香水の匂い。 そしてサラサラのロングヘアーから香るシャンプーの匂いは…あたしが智輝と選んだ香り…。 あの部屋で、 あたしと智輝が何度も体を重ねたあの部屋で… 智輝は別の人と体を重ねてた。 あたしよりずっと大人で、ずっとキレイなその人を見て… あたしは涙も出なかった。