ふと、残してきたお母さんを思い出す。


最後に思い切り振り払ったお母さんの手━━…

『お母さん…泣きそうな顔してたな…』



最愛の夫に先立たれて、娘まで死を選んだと知ったら…お母さんはどれほどショックを受けるんだろう…。

そんな事を思い立ち尽くす。



『………………』



“まさか…赤ちゃん生みたいの?”


お母さんの言葉が頭をかすめた。






『…そーだよね』

お腹に手を当てた。


『あたしみたいな娘…いなくなった方がお母さんも幸せだよ…』









撫でたお腹は、不思議と暖かくて…

まだそこに生命が残ってるような気がしたんだ。