屋上のドアを開く。
その音に気づいて、屋上の端にいる彼女もこちらへ振り向いた。


僕と彼女の目があう。


どことなく、気まずい空気が流れる。


「…何か、用ですか」


彼女はいつの間にか視線を空に戻し、ギリギリこちらに届く声で、そう呟いた。


「また、ここにいたから。また、落ちちゃうんじゃないかなって、思って」


彼女に近づきながらそう言う。


落下防止用の柵の向こう側に彼女がいる。
こちら側に僕がいる。


「1年生、ですよね」

「うん、あなたもでしょう」

「うん」

「部活、朝練行くんじゃないの?」

「今日はちょっと早く来たから大丈夫」


僕は柵に片手をかけた。