しばらく固まっていた。


彼女も、僕も。


「あの」


声を出したのは僕で、


「すいません!」


その後、謝るのは彼女。


バッと立ち上がると一瞬ふらつきを見せた。
心配して、声をかける。


「いきなり立つと、」

「大丈夫ですから!!」


そう言って彼女は、僕の横を通って走り去っていった。


そんな後ろ姿を眺めながら、考える。


多分、同じ学年の、子かな。
クラスは違うけど。なんか見たことある気がする。


そして立ち上がろうと、右手を床に着くと


ふわふわした何かが、手に当たる感触。


鳥の羽根?


目で確認しようとしたが、何もない。



気のせい、かな。