蜜の視線は彼…二宮碧(にのみやあお)を見つめたまま。

『ん~何だろうね?私もわかんないや。』

「彗に話しかけるわけでもなく、ただストーカーばりに見つめてるけど?あんた、一週間前に別れたんだよね?」

『うん、いちおね。今まで付き合ってたかも微妙だったけどね。』

ため息をつきながら、そう答えると。

蜜は何を思ったか、彼の元へ歩いていく。

ちょっ…何するつもり?!

慌てて追いかける私。

『蜜っ?!』

そのまま私の言葉を無視した蜜は、彼の前に立ち、開口一番毒を吐いた。

「ねぇ、二宮?あんた何考えてんの?散々、彗を無視し続けておきながら、別れた途端つきまとうって…。」

姉御肌の蜜は淡々と話しかける。

私はそのうしろで必死に、蜜を引きずって行こうと頑張るけれど。

10センチ近く身長差がある蜜と私。

ただただちっちゃい私が、蜜にぶら下がってるようにしか見えない。

これでも155センチはあるんだけど、蜜のとなりにいるとさらに小さく見えるみたい。

碧くんもおっきいから、常に私は小さく見られがちだった。

その彼はと言うと今、その整い過ぎてるキレイな顔でこちらを見上げていて…。

…うん、質問した蜜ではなく、私をじっと見つめていますね。