「明後日!?」
素っ頓狂な声を上げる昴。美織は困った顔で頷いた。今朝、伊織は健一と美織に明後日龍虎を道場に呼んだと告げた。
剣術を続けたいという伊織の意思は確認していたが、まさかこんなすぐに龍虎と話すとは思わなかった。話すだけではない、伊織は龍虎に挑むつもりだ。
「で、伊織は?」
「稽古中……。しばらくやってなかったから」
美織は難しい顔をしている紫乃をちらりと見た。伊織が紫乃と話したことは聞いていたが、美織自身はまだ話せていない。
「あの、紫乃ちゃん、ごめんね」
青い顔で謝る美織を見て、紫乃は肩をすくめた。
「私がいじめてるみたいじゃない。怒ってないよ。落ち着いたら、ゆっくり話聞かせてね。今は解決策を考えないと」
「うん、ごめん」
「みんなにわかってもらえる方法を一緒に考えるって、伊織と約束したから」
ふと伊織くんから伊織に呼び方が変わっていることに気付く。紫乃は伊織を女の子として認めてくれているのだと美織は思った。
「伊織も相談してくれればよかったのに」
「うん、私もびっくりした。時間がないのも事実だけど、急すぎて」
「時間がないっていうのは?」
「おじいさまが正式に当主になって、伊織が今まで性別を偽ってたことを明らかにしたら、もう戻れない。その前に、鷹栖流から離れたくないことを伝えて、認めてもらわなきゃいけないの」
今も伊織は道場で稽古をしているのだろう。無理をしないか少し心配だが、どこか吹っ切れたような清々しい顔をしていたから、きっと大丈夫だろう。
「また前みたいに試合になるのか?」
「多分、そうだと思う」
「なあ、鷹栖……そこに人呼ぶのは無理?」
昴に聞かれて、美織は首を傾げた。
「クラスメイトに見てもらえば?伊織が守ろうとしてたもの。俺、初めて見た時圧倒されたし、みんなも何か感じてわかってくれるんじゃ……」
「そんな上手くいくかな」
湊は考え込む。クラスメイトに声をかけたところで、道場に来てくれるかも微妙だ。
「でも、確かに伊織のことを理解してもらうには、それが一番かもしれない。今までの説明は私がする。説明した上で、伊織の姿を見てもらったら、何か伝わるかもしれない」
わかってもらうことは難しくても、一歩近付くきっかけになればと思う。美織自身もクラスメイトと話すきっかけができる。
「やってみようよ。動かなきゃ始まらないし、劇的に状況が変わることはなかったとしても、やらないよりはいいはず」
そう言ったのは紫乃だった。
「昴と湊くんは男子に声かけて。私は女子に」
「私も行く!」
美織はまっすぐに紫乃を見た。本当は怖い。中間登校日も学校に行けなかった。でも、このままじゃだめだとわかっていた。
「伊織が全部受け入れて進もうとしてるんだから、私も変わりたい」
「……わかった、一緒に行こう」
素っ頓狂な声を上げる昴。美織は困った顔で頷いた。今朝、伊織は健一と美織に明後日龍虎を道場に呼んだと告げた。
剣術を続けたいという伊織の意思は確認していたが、まさかこんなすぐに龍虎と話すとは思わなかった。話すだけではない、伊織は龍虎に挑むつもりだ。
「で、伊織は?」
「稽古中……。しばらくやってなかったから」
美織は難しい顔をしている紫乃をちらりと見た。伊織が紫乃と話したことは聞いていたが、美織自身はまだ話せていない。
「あの、紫乃ちゃん、ごめんね」
青い顔で謝る美織を見て、紫乃は肩をすくめた。
「私がいじめてるみたいじゃない。怒ってないよ。落ち着いたら、ゆっくり話聞かせてね。今は解決策を考えないと」
「うん、ごめん」
「みんなにわかってもらえる方法を一緒に考えるって、伊織と約束したから」
ふと伊織くんから伊織に呼び方が変わっていることに気付く。紫乃は伊織を女の子として認めてくれているのだと美織は思った。
「伊織も相談してくれればよかったのに」
「うん、私もびっくりした。時間がないのも事実だけど、急すぎて」
「時間がないっていうのは?」
「おじいさまが正式に当主になって、伊織が今まで性別を偽ってたことを明らかにしたら、もう戻れない。その前に、鷹栖流から離れたくないことを伝えて、認めてもらわなきゃいけないの」
今も伊織は道場で稽古をしているのだろう。無理をしないか少し心配だが、どこか吹っ切れたような清々しい顔をしていたから、きっと大丈夫だろう。
「また前みたいに試合になるのか?」
「多分、そうだと思う」
「なあ、鷹栖……そこに人呼ぶのは無理?」
昴に聞かれて、美織は首を傾げた。
「クラスメイトに見てもらえば?伊織が守ろうとしてたもの。俺、初めて見た時圧倒されたし、みんなも何か感じてわかってくれるんじゃ……」
「そんな上手くいくかな」
湊は考え込む。クラスメイトに声をかけたところで、道場に来てくれるかも微妙だ。
「でも、確かに伊織のことを理解してもらうには、それが一番かもしれない。今までの説明は私がする。説明した上で、伊織の姿を見てもらったら、何か伝わるかもしれない」
わかってもらうことは難しくても、一歩近付くきっかけになればと思う。美織自身もクラスメイトと話すきっかけができる。
「やってみようよ。動かなきゃ始まらないし、劇的に状況が変わることはなかったとしても、やらないよりはいいはず」
そう言ったのは紫乃だった。
「昴と湊くんは男子に声かけて。私は女子に」
「私も行く!」
美織はまっすぐに紫乃を見た。本当は怖い。中間登校日も学校に行けなかった。でも、このままじゃだめだとわかっていた。
「伊織が全部受け入れて進もうとしてるんだから、私も変わりたい」
「……わかった、一緒に行こう」

