少年に別れを告げる日

「伊織、稽古は好きか?」

「うん、大好き。伊織もね、お父さんみたいに強くなりたい。お父さんは剣を持つとキリッてなってね、かっこいい!」

「それは嬉しいな。じゃあ、強くなればどうすればいいと思う?」

「稽古を頑張る!」

「そうだな。でも、もっと大切なことがある。わかるか?」

「うーん……何だろう」

「剣は心なり。心正しからざれば、剣また正しからず。剣を学ばんと欲するものはまず心より学ぶべし」

「なあに、それ」

「伊織には、まだ難しかったか。有名な剣術家の言葉だ。大切なのは心」

「こころ?」

「そう。強くて真っ直ぐな心を持ちなさい。技術を身に付けること以上に、心を鍛えることを大切にするんだ」