「なんだよ、それ……」
「時代錯誤だとか、女性差別だとか思うかもしれないけど、そういうものなんだ」
言葉に詰まる昴に対して、伊織は穏やかな声で語りかける。伊織にとっては、そういうものだった。理解してもらえなくても仕方がない。
「僕はお父さんが守ってきたものを守りたい。そのためなら、何だってする。その気持ちは変わっていない。
だから、2人にも、このことは黙っていてほしい。正直、親戚にも知らない者がいるような話だ。公になれば、当主の座を追われるのは想像に難くない」
「何だってする」……軽い気持ちで口に出す人もいるだろうが、伊織は違う。男として生きてでも鷹栖流を守る。それが伊織の決意だ。
「伊織の気持ちはよくわかった。元々、誰かに話す気はなかったけどね」
ずっと黙っていた湊がやっと口を開く。
「伊織が望むなら、俺は協力するよ」
「え」
「これからも隠し通せるように協力する」
伊織が中途半端な気持ちでないことは、話を聞いていて痛いほどわかった。
昴と湊は何も知らなかった。伊織と美織が置かれた状況がこれほどのものだったなんて、知らなかった。
「ありがとう、助かるよ」
「ありがとう……」
ずっと不安そうにしていた美織が、伊織に続いて礼を口にした。
肩の荷が下りた気がした。今まで2人きりで抱えていた秘密。誰かに話すだけで、ここまで楽になるものなのかと伊織は驚いていた。
「伊織、聞いてもいいか?」
「ああ、答えられる範囲のことなら」
「なんでそこまでするんだ?」
ただ純粋に不思議に思っている聞き方だった。昴には理解できなかった。性別を偽ってまで当主になった伊織の気持ちがわからなかった。
伊織は笑った。笑顔でなんでもないように答える。
「簡単な話さ。好きだからだよ」
「好き……」
「僕はお父さんが教えてくれた剣術が、鷹栖流が好きだ。好きだから守りたい。それが一番の理由だよ」
他の理由だってもちろんあるが、一番はそれだった。好きでなければ、何年も続けられるはずがない。心から「何だってする」とは言えない。
「そうか、わかった」
昴はやっと笑顔を見せた。剣術が好きだと笑った伊織は楽しそうだったから、応援したいと思った。
「俺も協力する」
「ありがとう」
「時代錯誤だとか、女性差別だとか思うかもしれないけど、そういうものなんだ」
言葉に詰まる昴に対して、伊織は穏やかな声で語りかける。伊織にとっては、そういうものだった。理解してもらえなくても仕方がない。
「僕はお父さんが守ってきたものを守りたい。そのためなら、何だってする。その気持ちは変わっていない。
だから、2人にも、このことは黙っていてほしい。正直、親戚にも知らない者がいるような話だ。公になれば、当主の座を追われるのは想像に難くない」
「何だってする」……軽い気持ちで口に出す人もいるだろうが、伊織は違う。男として生きてでも鷹栖流を守る。それが伊織の決意だ。
「伊織の気持ちはよくわかった。元々、誰かに話す気はなかったけどね」
ずっと黙っていた湊がやっと口を開く。
「伊織が望むなら、俺は協力するよ」
「え」
「これからも隠し通せるように協力する」
伊織が中途半端な気持ちでないことは、話を聞いていて痛いほどわかった。
昴と湊は何も知らなかった。伊織と美織が置かれた状況がこれほどのものだったなんて、知らなかった。
「ありがとう、助かるよ」
「ありがとう……」
ずっと不安そうにしていた美織が、伊織に続いて礼を口にした。
肩の荷が下りた気がした。今まで2人きりで抱えていた秘密。誰かに話すだけで、ここまで楽になるものなのかと伊織は驚いていた。
「伊織、聞いてもいいか?」
「ああ、答えられる範囲のことなら」
「なんでそこまでするんだ?」
ただ純粋に不思議に思っている聞き方だった。昴には理解できなかった。性別を偽ってまで当主になった伊織の気持ちがわからなかった。
伊織は笑った。笑顔でなんでもないように答える。
「簡単な話さ。好きだからだよ」
「好き……」
「僕はお父さんが教えてくれた剣術が、鷹栖流が好きだ。好きだから守りたい。それが一番の理由だよ」
他の理由だってもちろんあるが、一番はそれだった。好きでなければ、何年も続けられるはずがない。心から「何だってする」とは言えない。
「そうか、わかった」
昴はやっと笑顔を見せた。剣術が好きだと笑った伊織は楽しそうだったから、応援したいと思った。
「俺も協力する」
「ありがとう」

