【完】素直じゃないね。



高嶺が嘲笑うように、ふっと笑った。


「いじめられてまで俺に縋り付いてくるとか、とんだ物好きだな。
でも、そういうことだから。
わかったら、もう俺に関わるなよ」


あたしの手を振り払い、再び離れて行こうとする。


……今、高嶺を行かせちゃだめだ。

確固たる意志が、あたしを動かした。


「待って!」


声を張り上げ、あたしは再び高嶺の腕を掴もうとする。


だけど勢い余って体勢を崩し、高嶺の胸になだれ込むように倒れこんでしまって。


「あっ」


「おい、つか、」


その反動で、斜め後ろにあったベッドに倒れこむ高嶺。


一方のあたしは、ベッドの上で高嶺に馬乗りになる体勢になった。


だけど、そんなこと気にすることなく、覆いかぶさったまま高嶺をまっすぐに見つめた。


「ばか……っ! 高嶺のばか!」