【完】素直じゃないね。



すると、高嶺の冷えきった色のない声が降ってきた。


「ほんと、おまえってチョロいよ」


思いがけない言葉に反射的に顔をあげれば、冷酷な表情がそこにあった。


思わず身動きできなくなる。


だって、こんな高嶺は見たことがなかった。


「高嶺……?」


「ちょっと優しくしてやっただけで、男の免疫がねぇから簡単に懐いちゃって。
暇つぶしにしてたけど、もう飽きた」


「……っ」


なんでだろう。こんなに胸が痛むのは。


ひどいことを言われて傷ついたからじゃない。


あたしは腕を掴む手に力を込めた。


「やだ……」


「は?」


こんなに胸が痛むのは、

高嶺が……仮面を被ってるからだ。