「失礼しまーす」
保健室のドアを開けると、ガランとしたまっ白な空間が視界に広がった。
「桜先生?」
養護教諭で、自称・保健室のマドンナである桜先生の名前を呼ぶけど、返事はない。
「桜先生いないのかぁ……」
早く戻りたいこともあって、先生の帰りを待たず、自分で手当てをすることにした。
先生には、絆創膏を貰ったことのお礼と謝罪を置き手紙で報告すると決めて。
あたしは今になって痛みを思いだした腕をさすりながら、壁に隣接した天井にくっつきそうなほど高さのある戸棚を見上げる。
そして、数ある引き出しの中から、腰の高さほどの場所に『絆創膏』と書かれたシールが貼ってある引き出しを見つけた。
と、その時。
「先生、頭痛薬ありますか?」
ガラガラッとドアを開ける音とともに聞こえてきた、聞き慣れた声。
「高嶺?」
ドアの方を振り返れば、やっぱり高嶺が立っていて。


