【完】素直じゃないね。



「じゃあなに? なんでふたりで歩いてたの?
私達にちゃんと説明して」


「それは……」


送ってもらった、なんてこの状況じゃ口が裂けても言えない。


答えられずに口ごもっていると、腕を組んだ真ん中の女子が鋭い視線をこちらに向けた。


「ほーら。なにも言えないんじゃん」


「ちが……」


「あんたと高嶺くんが釣り合うわけないじゃない。
高嶺くんのこと、たぶらかさないで」


そして不意に手が伸びてきたかと思うと。


──ドンッ。


突然肩を押され、咄嗟に反応できなかったあたしは、反動で後ろによろめき尻餅をついた。


「痛……」


「あー、ごめんなさい。
手が滑っちゃった♡」


降り注いでくるのは、悪意に染まった猫撫で声。