【完】素直じゃないね。



まわりに人がいないことを見計らい。


「ねぇ、悠月」


ふと、名前を呼んでみる。


恥ずかいけど、爆発しそうだけど、


「……手、繋ぎたい」


「え?」


あたしは勇気を振り絞って、胸に生まれた願望を口にした。


「みんなに見られたら、面倒なことになるけど、今ならだれもいないし……。
なんかさ、ちょっとまだ信じられない自分がいて。
悠月のこと、ずっと好きで、片想いだと思ってたから」


手を繋ぐことで、付き合ってることを実感したいっていうか。


うう、こんなこと言う自分がいるなんて。

顔赤くなってそう……。


すると、悠月がため息まじりにつぶやいた。


「……なぁ」


「ん?」


「お前さぁ、それ無自覚?」


「へ?」


不意に悠月があたしの前に立つ。


「悠月……?」


見上げると、熱を帯びた瞳の悠月。


「……我慢してたけど、限界っぽい。
ちょっと、味見させろよ」


肩を掴まれたかと思うと、悠月の綺麗すぎる顔が近づいて来て。