出会った時は、こんな感情を自分が抱くなんて、思ってもみなかった。


悪魔で、ムカつくくらいなんでもできて、意地悪で、でも心の奥に苦しみをしまいこんでいて、ほんとは優しくて、意外と面倒見が良くて。


そんなあいつな恋をして、何度泣いただろう。 何度胸が苦しくなっただろう。


だけど、この恋を捨てることほどつらいことなんてない。


充樹先輩にクッキーを渡したあたしは、高嶺の元へ走っていた。


どこにいるかもわからない。

だけど、今すぐにこの想いを伝えたかった。


充樹先輩への気持ちをちゃんと片づけてから、あたしはあんたに真正面から向き合いたかったの──。