「なんで宙がここに……」


宙の家は、俺の家から近い。

つまり、ここからだいぶ遠い場所にあるというわけで。


すると宙は、頭の後ろに両手を当て、驚く俺に向かって屈託無く笑った。


「乃亜のこと送って家に帰ったんだけど、母ちゃんにおつかい頼まれてさ。
で、途中で高嶺を見かけたわけ。
反対方面に行くから、なにかあるんじゃないかと思って」


宙が目のカーブを緩める。


「不審者が危ないから、ちゃんと帰れるまで見守ってやってるんでしょ?」