まずい、手が震える。 乃亜の前なのに。 「つかさちゃん……?」 あたしの異変を察知したのか、乃亜が不安そうな声を上げる。 「あ、あの、」 なにか言わなきゃと、わずかに戦慄く唇を開いたとき。 「──宙っ」 どこからともなく突然聞こえてきた声。 そして、次の瞬間──だれかが、あたしと宙くんとの間に割り込んだ。 それは、「高嶺……?」 あたしの腕を掴み、庇うように自分の後ろへと手を引く高嶺。