【完】素直じゃないね。




まるで、そこのコンビニに行こう、とでも言うような軽いトーンで充樹先輩が提案した。


「で、デート!?」


「うん。ほら、俺が部活やってるせいで放課後デートできないじゃん?
だから、休日にどこかつっちゃんと出かけたいなって」


いや、まさか、デートに誘われるなんて。


まったくもって心の準備をしていなかったせいで、心と頭が慌てる。


「だめ?」


小首を傾げ、充樹先輩がダメ押し。


うう、絶対この人、自分がきゅるるんな瞳をしてるってことわかってる……。


「……だめ、じゃないです」


「よし、じゃあ来週の日曜、空けておいてね」


断らなかったのは、きゅるるんとした瞳にやられたからというわけじゃない。


充樹先輩、元気づけてくれてるのかな。

そう思ったから。


そして、ぐらんぐらんな自分の気持ちを、たしかなものにしたかった。


『どういうつもりか知らないけど、彼女が嫌がるようなことしないでくれるかな』


充樹先輩が高嶺に放った言葉に、ズキンと胸が痛んだ理由はわからなかった。