【完】素直じゃないね。



「え?」


予想外の言葉に、あたしは目を瞠る。


「めちゃくちゃネガティブなことばっか言って。
相当感傷的になってた」


朝陽さんの命日のことが、頭をよぎった。


「高嶺……」


高嶺の言葉を待つように、少し先を歩く背中を見つめる。


「これからは、兄貴になるんじゃなくて、俺なりに兄貴を目指そうと思う。
憧れで尊敬してることには変わらないから。
親にも認めてもらいてぇし。弟だって、頑張ってるってこと」


そこまで言って、高嶺が肩越しに振り返った。


「もう大丈夫だから。
お前のおかげで、前に進めた」


あたしに向けられたのは、すごく穏やかな微笑。

憑き物が取れたみたいに、晴れ晴れとしていて。


あまりにも綺麗な笑顔に、あたしは思わず目を奪われていた。