「この前偶然会って、それで女の子だってわかって、ああこの人なんだろうなって気づいた」 俺は再び顔を伏せた。 ──最初は俺の本性を見抜くあいつが、ただ邪魔だと思った。 でも、他の奴らと違う反応に興味が湧いてきて。 そしてからかっているつもりでいるうちに、あいつはいとも簡単に俺の心の中に入ってきた。 気持ちを読まれないことだけが特技だったのに。 あいつは俺がほしい言葉ばかりをくれるから。