【完】素直じゃないね。



──昨日、腕の中で震えていた高嶺。

今もまだあの時の感覚が、腕に残ってる。


すごく脆く、小さく感じて。


どれだけ多くのものが高嶺にのしかかっているんだろう。


朝陽さんの命日に、ひとりでいさせたくない。


グラウンドに出て、辺りを見回すけど、目に入るのは昼食を食べ終えサッカーで遊ぶ男子生徒ばかりで、高嶺らしき人影は見つからない。


いない……。

どこにいっちゃったのよ……。


何気なく校舎を振り返ったあたしは、思わず息を呑んだ。


屋上に、人影がある。


フェンスに手をかけて立っているのは──。


「……高嶺っ」


あたしは無我夢中で校舎に引き返すため、グラウンドを駆け出す。


なんで屋上なんかにいるの?

屋上は危険だからって、普段は施錠してるはずなのに──。


上っても上っても屋上に辿り着かない、永遠にも続いてるように思える階段がもどかしい。


嫌な音を立てて、心臓が暴れてる。


ねぇ、やめてよ。

変なこと考えないでよ、お願いだから──。