すると、高嶺は目を伏せて静かに呟いた。
「まぁ、もうこの世にはいねぇけど」
「え……?」
「俺が中三のとき、交通事故で死んだ。
歩道を歩いてた俺に向かって突っ込んできた飲酒運転の車から俺を庇って、轢かれた」
「……っ」
声が、喉の奥でつかえた。
ひどく冷静に告げられたのは、あまりにも衝撃的な事実だった。
ぐわんと地面が揺れるような感覚に陥る。
高嶺の言葉が頭の中でふわふわと浮いて掴めなくて、うまく咀嚼できない。
高嶺の視線は、ただただ地面を捉えてる。
でもその横顔は、あまりにも切ない。
まるで心の中の孤独と葛藤している、そんな表情で。
「美織は、俺と兄貴の幼なじみ。
そして、兄貴の彼女だった」
「お兄さんの、彼女……?」
「でも兄貴が亡くなって、精神的に壊れそうになって。
ある日突然、俺のことを朝陽って呼んだ」
「え……」


