【完】素直じゃないね。







手を引かれ辿り着いたのは、ひとけのない公園。


立ち止まり、不意に手が離される。

離れていく手を、あたしは追うことができなくて。


しんと冷たくて痛々しい静寂があたし達を覆う。


……怖い。本当は怖い、口を開くのが。


でも──聞かなきゃいけない気がする。


だってわからないことばかりなんだよ。

そしてそのわからないことは、こんなにも高嶺を動揺させるほど、重要なことで。


あたしはぎゅっと手を握りしめ、微かに震える唇を開き。


「……高嶺っ……」


こちらに背を向けたままでいる高嶺に声をぶつけた。


「さっきの……アサヒって、だれ?
高嶺が、アサヒって呼ばれてるの……?」


あたしの問いに、高嶺はすべてを覚悟したようにわずかに俯くと、目の前にあったベンチに腰掛けた。


そして真正面を見たまま、ゆっくりと吐き出すように声を紡ぐ。


「アサヒ──高嶺朝陽は俺の三つ上の兄貴だよ」


「お兄さん?」


それは予想もしなかった答えで。