【完】素直じゃないね。



高嶺に手を引かれるまま、その背中を追いかける。


こちらを振り返ることなく足早に歩く高嶺は、なにも言ってくれない。


でも、こんなに余裕がなくて焦っている高嶺を見るのは、初めてだった。


なにが起こってるの……?

ねぇ、高嶺……。


いくら心の中で問いかけても、その背中が答えてくれることはなくて。


訳が分からなかった。

頭の中はぐちゃぐちゃだった。


確証はないけど、高嶺の普通じゃない様子から、すごく大切なことに触れてしまった、そんな気がする。


そして、高嶺のこの手を振り払ってはいけないことだけは、たしかだった。