ドクンドクンと一気に心臓が嫌な音を立て始める。 目の前から歩いてくる人。 それは── 「高、嶺……」 私服姿の高嶺もあたしに気づいて足を止めた。 なぜか目を見開いて。 「……つかさ」 鉢合わせたくなかった。 よりによって──高嶺の隣に美織さんがいる時に。 「知り合い?」 あたしたちの間にピンと張られた静寂の時を破るように、美織さんが高嶺を見上げ、そう訊いた。 なぜか高嶺は、眼を見開いたまま、その問いに答えない。