【完】素直じゃないね。



今度こそ、やっと見つけた。


無事な姿であることに、ホッとする。


呼吸を整えるように肩を大きく上下させながら、歩み寄る。


そして、


「つか、」


呼びかけて、声が途切れた。


思わず、足が止まる。

目が見開かれたのが、自分でもわかった。


木の陰に隠れて見えなかった。

つかさの他にもうひとり、そこにいたことに。


ベンチに座るつかさの目の前に跪くようにして、だれかがいた。


「探してくれてたなんて……。
充樹先輩、ありがとうございます。
来てくれた瞬間、すごくホッとしました」


「つっちゃんが無事なら良かった」


──桜庭だった。

いつからか男嫌いのつかさが下の名前で呼ぶほど、親しくなっていた、桜庭。


その桜庭に、つかさが笑いかけている。


相当気を許してるってことは、その笑顔を見ていればすぐわかる。


……そうか。


俺が入って行く隙なんてなかった。


俺よりも先に駆けつける奴が、つかさにはいた。


今まで全然気づかなかったのに、寒さで耳がかじかんでいた。


俺は小さく息を吐き、途方もなく力を失った手を握りしめると、まだ荒い呼吸のまま踵を返した。