【完】素直じゃないね。



少し広い通りに出たところで、俺は膝に手をついて荒い呼吸を整えた。


「はぁ、はぁ……」


駆けずり回っていたせいで、足が重い。


ったく、どこ行ったんだよ、あいつ……。


『高嶺!』

俺の名前を呼ぶ、あいつの明るく通る声がどこからか聞こえてきた気がした。


見つけたら、ぜってー迷惑料でなにか奢らせてやる。

そう固く心に決めると、ぐっと顔を上げ、再び走りだした。


やがて、敷地内の一番奥までやって来た。

ここら辺は、さっきまでの喧騒が嘘かのように静かで、人もあまりいない。


「つかさ!」


口の横に手を当て、声を張り上げながら駆ける。


と、その時だった。


前方のベンチに座っている人影を見つけ、俺は駆けていた足の速さを緩めた。


あれは……間違いない。

あの長い髪、横顔──つかさだ。