【完】素直じゃないね。



手が離れ、あたしを覆い被さっていた影がなくなり、光が差し込んだ。


なにも言葉が見つからないでいると、高嶺がこちらに背を向け、パイプ椅子に腰を下ろしながらつぶやく。


「もう終わるし、教室戻ってていいから」


高嶺のその言葉が、一緒にいたくない、そういう意味だと悟る。


あたしはぐっとうつむき、拳を握りしめた。


……悔しい悲しい。

なんでこんなにうまくいかないんだろう。


高嶺の役に立ちたかったのに。


また、突きつけられてしまった。

明確な、心の壁の存在を。


……でもだめだ。こんなことでめげちゃ。

自分の弱い心には負けないんだから。


「ごめん。じゃあお言葉に甘えて、先戻るねっ」


声を明るく持ち上げて、だけど高嶺の方を向けないまま資料室を立ち去ろうとした、その時。


くいっと後ろからポニーテールの毛先を掴まれ、あたしの足が止まった。