【完】素直じゃないね。



こぼれるように呟いたその言葉に、高嶺がバッと顔をあげたのが、背中を向けていてもわかった。


「なんでおまえが知って……」


ここまできたら、引き返せなかった。


意図する前に、口が勝手に動く。


「前、見かけたの。
高嶺がその人と一緒にいるとこ」


動悸がうるさい。


これ以上突っ込んだら、もう戻れない。

引き返すなら、今のうち──。


頭では全部わかってる。


だけど、勢いに任せて続けていた。


「彼女さん、なの?」


……高嶺に背を向けていたから、気づかなかった。


高嶺がすぐそこまで来ていたことに。