高嶺が目の前にいる、それだけで胸がいっぱいになってしまう。
手を伸ばせば届くほど、すぐそこにいる。
だれもいない場所で、こうして一対一で話すのは、いつぶりだろうか。
窓から差し込む光が照らし出す高嶺の顔は、やっぱりとても綺麗で。
それがひどくあたしの心を感傷的にさせた。
「……高嶺」
「なに?」
「いつもこんなふうに先生に仕事頼まれるの?」
一瞬手の動きを緩め、でもすぐに仕事を再開した高嶺は、視線を書類に落としたまま答える。
「ん、まぁ」
なんでそこまで頑張るの?
そう言いかけて、思わず口をつぐんだ。
そういえば、あたしは高嶺がどうして仮面を被って優等生を演じているのかわからない。
高嶺の前には、明確に一本の線が引かれている。
あたしはそれを跨げない。
だから知らないんだ。
高嶺のこと、全然──。


