【完】素直じゃないね。



「……それじゃあ悪いが頼んだぞ、日吉。
できたら、職員室の机の上に置いておいてくれればいいから」


「わかりました」


気まずいのか、井沢先生はぎこちなく目をそらしながら、教頭先生と共に職員室へ歩いて行く。


よし、言ってやったわ。

ざまあみろと井沢先生の後ろ姿を見送っていると、乃亜が駆け寄ってきた。


「つかさちゃん、私も手伝うよ……!」


あたしは書類を両手で抱えながら振り返った。


「今日は、茶道部の集まりがある日でしょ?
あたしのことなら大丈夫。
乃亜のその気持ちだけで、十分だから」


「つかさちゃん……」


茶道部の集まりがあるにも関わらず、手伝うと言ってくれた乃亜の優しさがしみる。


なんて優しい子なの、あなたって子は。

ほんと、十分すぎるくらいよ……。


「うう、ごめんね、力になれなくて。
でも応援してる……っ」


「乃亜〜っ」


泣きそうになりながらファイトポーズを作る乃亜を抱きしめようとしたのに、書類が邪魔でできなかった。