【完】素直じゃないね。



書類と印鑑を受け取ると、ずしっと手に重さがのしかかる。


これを高嶺に頼もうとしてたのか……。

今回だけじゃなくて、もうきっと何度も。


あたしは井沢先生を見あげた。


「先生」


「ん?」


「たまには、あたしも頼ってください。
高嶺はたしかに仕事そつなくこなしますけど、先生みたいにあてにしてる人多くて、忙しいんで」


「お、おう」


井沢先生の目が虚をつかれたように、見開かれる。


……自己満足だっていい。

だけど、高嶺の力になりたい。


高嶺みたいに超人じゃないから、あたしにできることなんてたかが知れてるけど。

高嶺より、クオリティーはだいぶどころか相当下がるけど。


だけど、高嶺のために動けることがあるなら、動きたい。


なんだか高嶺の笑顔を見たら、あの笑顔の邪魔をさせたくないって思ってしまった。


ほんの一ミリでも高嶺の力になれるなら、多分それがあたしの幸せだから。