「いやいや、井沢先生、すごい量の資料ですなぁ」
「そうなんですよ〜」
不意に数メートル先で、ぽっちゃりとした教頭先生と、担任の井沢先生が話しているのを見つけた。
井沢先生は、教頭先生が指摘するとおり、すごい厚さの書類を持っている。
「これ全部確認印を押すんでしょう?」
「ええ。確認は済んだので印を押すだけなんですが、これから出張で……。
あ、でも大丈夫です。
高嶺に手伝いを頼もうと思ってるので」
「ああ、高嶺ですか」
「高嶺、仕事も早いし完璧だし、頼んでも嫌な顔しないで引き受けてくれるんですよ。
ほんと、高嶺に頼むと便利っていうか楽なんですよねー」
「ははは、よく働いてくれるなぁ、高嶺は」
なに、それ。
先生たちの声が、徐々に遠くなっていくような感覚に陥る。
あたしの心が受け入れ拒否してるみたいに。
……なんか、むかつく。
気づけば、考えるよりも先に足がリノリウムの床を蹴っていた。
「つかさちゃん」
乃亜の声が背中にぶつかったと同時に、あたしは声を張り上げた。
「あのっ」


