【完】素直じゃないね。



「目覚め最悪なんだけど〜。
せっかく静かに寝られるいい寝床見つけたと思ったのにー」


頭をかきながら、どこかのだれかが本棚の影に逃げたあたしに不満をぶつけてくる。


「す、すいません……!」


蹴っちゃったことは申し訳ないとは思うけど、まさかそんなところに人が寝てるなんて思いもしないってば……!


本棚から顔だけそっと覗かせて謝ると、目が合って、彼がニヤッと笑った。


「お、なかなか可愛い子じゃん」


「は?」


「ねぇねぇ、名前、なんて言うの?」


さっきまでの不機嫌さはどこに行ったのか、好奇心に満ちた目で膝と手をつき、四つん這いになってこちらに寄って来る。


ひぃ……!


「こ、来ないで……!」


「逃げられると、余計追いたくなる性分なんだよなぁ、これが」


やばい、この人本格的にやばい人だ。


あたしの頭の中で、緊急警報が鳴る。


掃除担当のクラスメイトも来ないし、掃除時間に図書室に来る人なんていない。


図書室に、この変人とふたりきり。

まさに、絶体絶命。