「はぁ……」
もうひとつため息を吐きだしながら、下駄箱にローファーを入れ、靴を履き替える。
教室行きたくない……。
高嶺の顔見たら、胸が痛くなりそう……。
乃亜の笑顔を思い浮かべながら、なんとか自分の気持ちを奮い立たせ、重い足を引きずって廊下を歩いていた、その時だった。
不意に腕を掴まれたかと思うと、抵抗する間も無く、だれもいない教室に引きずりこまれた。
え？ な、なに？
状況を理解できず、混乱しながらバッと顔を上げると、そこにいたのは。
「た、高嶺……」
あたしの腕を掴んでいたのは、一番会いたくなかった張本人で。
