【完】素直じゃないね。



……最低だ。


あたしは顔を見られないようにバッとうつむき、ぎゅうっと浴衣を握りしめた。


「……ばか、高嶺のばか」


怒りMAXだよ、あたし。


あたしに、お面をつけさせてごめんねって謝らせておいて……。


……でも、ううん。違う。

怒ってるのは、そこじゃない。


今、あたしがこんなに怒ってるのは。


「本気で……本気で心配したんだからね……。
窒息死とか、そこまで考えたんだから……」


高嶺が死んじゃうかもって、心配させたことに対してだ。


すると、高嶺が静かに訊いてきた。


「……俺が消えたら、嫌なの?
こんな俺でも?」


「決まってること言わせないで。
そんなの当たり前に決まってんでしょ、ばか」


どんなに悪魔だって、どんなに意地悪だって、高嶺がいなくなるのは嫌だ……。


……って、なに言っちゃってんの、あたしってば!

まんまと高嶺の口車に乗せられて!