【完】素直じゃないね。



「お面少し持ち上げれば、呼吸くらいできるし。
そんなこと気づかねぇほどバカじゃねぇから」


まったくもって状況は理解できてない。


でも、今、遠回しにバカって言われたことだけは分かった。


必死に頭を動かして、やがてひとつの真相に辿り着く。


つまり、高嶺は、あたしのこと、


「酸欠って騙してたの……?」


恐る恐る頭に浮かんだことを声にすると、高嶺がフッと顔を歪めて笑った。


その笑顔は、まさに悪魔のそれだ。


「ちょっとからかってやろうと思ったら本気にするから、面白くって。
やっぱりいじめがいがあるよな、つかさって。
でも、詐欺とか悪徳商法とかには気をつけた方がいーんじゃねぇの?」


高嶺が上体を倒し、あたしの顔を覗き込む。

やっぱりあの意地悪な笑みを浮かべて。