クラウディアへようこそ


「もういいぞ」

合図を受け目を開くと鎖骨の間に輝く緑色の光に目が止まる。

地中を包む大気と樹木の優しさを宿した光だ。

「いいな。似合ってる」

満足げに微笑む一色社長に頬を撫でられると、胸がきゅうっと苦しくなる。

「風呂と寝る時以外はずっと身に着けていろ。お守り代わりだ」

「一色社長……」

この人は……本当に私のことを待っていたんだ。

クラウディア王国のレオンハルト国王は生まれ変わっても今なお。

……リリア様を愛し続けている。

「どうして、ここまでするんですか?」

たとえ前世の記憶があったとしても、別の人を好きになってはいけないなんて決まりはないはずだ。

レストランに連れて行ったり、高価なプレゼントを買ったり。

私の気を引くために回りくどいことをしなくても、他にいくらでも女性が寄ってくるだろう。

「約束したからな。“来世でも俺の妻はお前だけだ”と……」

私は居たたまれなくなって、ふるふると首を横に振った。

「私……本当に覚えてないんです……!!」

交わした約束も。自分が誰だったのかも。

……どんな風にあなたを愛していたのかさえ分からない。

どうして?

どうして、私ばかり何も覚えていないの?

クラウディアを知れば知るほど、一色社長に好意を向けられるほど、思い出せなくて苦しい。