一色社長が連れて来てくれたのは、繁華街から少し離れた高台にあるオシャレなレストランだった。

「一色様、お待ちしておりました」

支配人と思しき男性に恭しく頭を下げられ、奥まった個室に通される。

(綺麗……)

大きくとられた窓からは海が一望でき、闇夜を照らす美しい夜景を楽しみながら、美味しい食事をとることができるなんてこの上ない贅沢だ。

(……意外とロマンチスト?)

支配人にジャケットを預けている一色社長をこっそりと盗み見る。

まあ、前世を信じている時点でロマンチストなことは確定しているのだけれど。

「気に入ったか?」

テーブルに頬杖をつきながら尋ねられると、私は黙って頷いた。

……一色社長の金色の瞳の方がよっぽど綺麗だ。

口を開けば余計なことまで言ってしまいそうだった。

夜景に見入ったように窓の外を眺めていると、早速料理が運ばれてくる。

あらかじめ予約されていたのだろう。まったく、抜かりのない男である。