「ゆうりーん!!」

「はーい!!」

椅子に座って書類を整理していると、再び雪菜に呼ばれた。

ひと心地出来たのも僅かな間だけであった。

営業部が人手不足というのは本当のことだったらしい。

歴戦の猛者達もとい営業部の人達は、足を使って営業先を駆け回ることに長けていても、書類の細々した作業は苦手らしく、雑務のほとんどはアシスタントである私達に回ってくる。

しかも、ひとりが複数の営業のアシスタントを兼ねているのでてんてこ舞いである。

私は沢渡営業部長のアシスタントになったのだが、昼行燈を地で行く部長が自ら営業に出向くことは少なく、処理すべき書類とやらも見当たらない。

ということで、専ら雪菜の手伝いが私の仕事になっている。

まあ、生まれ変わりうんねんの諸事情を除けば、残業は少ないし、お給料も奮発してもらえるし、言うことなしなのである。