「秘書課の夏八木さんが新入社員を連れて来るなんて珍しいね。もしかして、クラウディア時代は相当身分の高い人だったのかな?」
沢渡部長ってば見た目に反して妙に鋭いではないか。
「いえ。私は……」
どう答えたら良いか返答に困っていると、今度は手が差し出された。
「営業部長の沢渡です。どうぞよろしく。榊優里さん」
友好の証に固い握手を交わすと、女性社員が並んでいる営業部の一角に案内される。
「浜名、七里!!」
ふたりの女性がピクンと反応し、ほぼ同時に沢渡部長を振り返る。
「おまちかねの新人さんが来たよ!!二人とも面倒見てやってくれ!!」
女性が二人は待ってましたと言わんばかりに、等間隔に並んだデスクの列から飛び出してきた。
「うう、助かるう!!万年人手不足の営業部に救いの女神がきてくれたあ!!」
「うきゃっ!!」
ボブパーマの女性の方にガバッと抱き付かれ、その衝撃でよろめいてしまう。歓迎の意を表すには少々乱暴である。
「こら、雪菜。まずは自己紹介!!」
パンツスーツが凛々しいポニーテールの女性に叱責され、ボプパーマさんがてへっと笑いで誤魔化す。



