「生まれ変わったといっても、公序良俗に反した行為はしませんよ。前世がどんな身分であれ、この会社に入社した以上は平等に扱いますし、才能に応じて出世や昇給も行います。そういった意味では昔より恵まれているかもしれませんね。すべて一色社長のお考えです」
夏八木さんの話を聞いて、へーと素直に感心してしまう。
行動はハチャメチャで口調は偉そうに見えても、社長としてはまともらしい。
「あの……今日、一色社長は?」
“知りたければ自分で思い出せ“と炊きつけたくせに、当の本人が顔を見せないとは。
「一色社長は2日前から出張でヨーロッパに行かれていますよ。しばらく日本には戻ってきませんので、先日のようなことはありません。ご安心ください」
「はあ……」
それは素直に安心してしまって良いものなのか?
「他に質問がないようでしたら、社内を案内しますね」
私が働くことになる株式会社クラウディア。
一体、この先何が待ち受けているのだろうか。



